交尾とは子孫を残すために必要な行為であると同時に、自身の性的欲求を満たす行為でもあります。
アンテキヌスという動物をご存じでしょうか?
彼らの交尾は想像も出来ないほど過酷なことで知られています。
今回の記事ではそんなアンテキヌスについてご紹介します。
アンテキヌスとは
アンテキヌスはオーストラリアの草原や樹木に生息する体長7~15cmほどの小さな有袋類です。
有袋類とは子宮内で胎児を大きく育てることが出来ないので、未熟な状態で子を産み袋の中で育てる動物の総称です。
有名なのはカンガルーでしょうか?
基本的に動物の体長(大きさ)は寿命に比例していると言われています。
小さな動物ほど短命なのです。
このアンテキヌスは先述した通り小さな動物で、その寿命はメスで2~3年ほど、オスはそれよりもさらに短い約11カ月と言われています。
なんとその性別での寿命の差には、アンテキヌスの過酷過ぎる交尾が関係しているのです…
交尾し過ぎで絶滅の危機?

アンテキヌスは主に昆虫などを餌とし、この昆虫は春から夏にかけた暖かい時期に活発化します。
その期間にしっかりと子を育てられるよう、アンテキヌスの繁殖期は冬の終わりごろにやってきます。
繁殖期(発情期)のオスの勢いは凄まじく、メスを見つけては飛び掛かり交尾を行います。
なんと1日で14時間も交尾を続けることもあるそうで、行為が終わると不眠不休でメスを探し、次々と交尾を行います。
何とも羨ましい話…では無いんですね。
発情期のオスはテストステロンという男性ホルモンが異常に分泌されており、常に極度の興奮状態に陥っています。
その状態でオスは、発情期の2~3週間を僅かな水分補給のみで命を繋ぎ交尾を続けるのです。
どんどん体内の男性ホルモンの濃度が高くなり、それに伴ってストレスホルモンもまた急激に増加します。
そして体内の組織がダメージを受け生存に必要な免疫力が激減、消耗しきったオスは繁殖期が終わった数日後に死んでしまうそうです。
これが原因で毛が抜け落ちたり、目が見えなくなってしまうオスもいるそうです。
絶滅危惧種に
アンテキヌスの中でA.arktosとA.argentusという種が、現在絶滅危惧種に指定されています。
森林伐採で生息地が失われていることや、外来種による影響が大きいと言われています。
所感
アンテキヌスが成体になる期間は、種によって多少の前後はありますが10カ月ほどと言われています。
つまりオスはその人生の大半が子供だということです。
なんとも壮絶な人生ですね。
命を懸けて子を成し、その生を終える…
動物の真理を表したような生き様にも思えます。
Reference:https://en.wikipedia.org/wiki/Antechinus