【言語は人類の最も偉大な発明だ】と言われています。
人間は言語や身振り手振りを用いて他者とコミュニケーションを取り、お互いの考えを伝え合うことが出来ます。
それらは人間同士の場合には有効な手段ですが、人間と動物ではどうでしょうか?当然ですが動物は言語を持っていないので、彼らとの意思疎通は非常に困難です。
毎日を一緒に過ごしている愛犬や愛猫の考えていることでさえ、分からないのが当然なのです。
しかし世界には人間との意思疎通に成功した動物が存在しています。
今回は、世界で初めて手話を使って人間との意思疎通に成功したココというゴリラについてご紹介します。
ゴリラのココ

ココはアメリア・サンフランシスコの動物園で誕生したメスのローランドゴリラです。
1971年7月4日のアメリカ独立記念日に産まれたココは、その日に上がった花火からなぞらえ「花火子(ハナビコ)」と名付けられ、そこから愛称であるココが誕生しました。
手話で人間と会話
フランシーヌ・パターソン博士との出会い
生後三か月で病気にかかった際に発達心理学者のフランシーヌ・パターソン博士と出会い手話を教わります。
パターソン博士は【類人猿には手話によるコミュニケーションを学習することができるのか】というテーマで研究に励んでいました。
しかし周りの人間は「身振り手振りの真似は出来るだろうけど、意味を理解することは不可能だ」とそのテーマに対して懐疑的だったそうです。
1970年当時には動物が感情を示す、人間の言語を学習するといった考えは非科学的でナンセンスだと思われていました。
しかしパターソン博士は『いつかきっと意思の疎通が可能になる…』と信じて、ココと接し続けたそうです。
すると驚くべき現象が起きました。

理解の兆し
何とココが、自ら新しい言葉(手話)を作り出したそうです。
手話で【ブレスレット】【指】という2つの単語は教えていたそうですが、【指輪】という単語はまだ教えていなかったそうです。
ある日ココは先生の付けていた指輪を示す際に、ブレスレットと指という2つの手話を組み合わせたそうです。

指輪を「指のブレスレット」ヘアブラシを「引っ掻くための櫛」といったように、知っている言葉を組み合わせて独自の言葉を作り出し、自分の言いたいことを表現していたそうです。
こうしてココは多くの人が懐疑的であった【類人猿の言語能力】を証明したのでした。
パターソン博士によると、ココは約1000の手話を知っており、その倍の2000語近くの英単語を理解しているそうです。
ココとペットの猫

パターソン博士はココにたくさんの絵本を読み聞かせました。
たくさんの絵本の中でも猫が登場する本を気に入ったそうで、ココは誕生日プレゼントに猫をおねだりしました。
最初は猫のおもちゃを用意したそうですが、ココがそれを気に入ることは無かったそうです。
そこで『ゴリラが別の動物を飼育できるか』という実験を兼ねて本物の子猫を与えたそうです。
3匹の子猫から、ココは尻尾の無い1匹を選び、ボール(ALL BALL)と名付けて2匹の生活は始まりました。

飼育員はココが子猫を殺してしまうのではないかと危惧していたが、それは杞憂に終わったそう。
ココはボールの体を舐めまわし、抱きかかえ、まるで母親になったかのように振る舞い、愛情を注いでボールの事を育てていたそうです。
愛猫の事故死
しかしある日、ボールは車にひかれて亡くなってしまったのです。
パターソン博士がそのことを手話でココに伝えると、ココは少し黙った後に「話したくない」と答えたそうです。
驚くべきことに、ココは死の概念を理解しているのです。
その後、ココはボールへの愛や悲しみの言葉を繰り返し、大きな声で泣き続けたそうです。
その際の様子は映像として残されています。
ココの現在
2018年6月19日に46歳で亡くなられたそうです。
最後は眠ったまま息を引き取ったそうです。
ゴリラのココは嘘?その真意は?
- ココが実際には人間との意思疎通が出来ていなかったのでは?
- 猫が死んだことに関して悲しんだというのは捏造?
という噂もあります。
ココが使用していた手話は一般的なアメリカ手話ではなく、ココが作り出したゴリラ手話 (Gorilla Sign Language) というもので、ココの会話を読み解けるのはパターソン博士と数人だけだった。恣意的な読み解きをしていたのではないかという批判がある。一般人と会話をするイベントも開催されていたが、全てパターソン博士が翻訳として入っている。さらに、会話が通じなかった場合に「嘘」として処理されていたのではないかとも言われている。
ココ(ゴリラ)
TV番組で放送されたココが猫の死で悲しむ映像は、違う場所で撮影されたいくつかの映像を組み合わせたもので、ナレーションによって一連の映像のように編集されている。
ココ(ゴリラ)
Reference:mashable.com