人々が抱えるさまざまな問題に多くの科学者が挑み続けた結果、科学は急速に発展しました。そのおかげで私たちの生活はどんどん便利になってきています。
しかしその進歩の裏側では、一般人には想像も出来ないような実験が行われていることもあるのです…
人間の遺伝子を他の動物に移植するキメラ実験もその一つです。
※人によってはグロテスクに感じる画像が含まれているので閲覧に注意してください。
キメラとは
みなさんは『キメラ』という生物をご存知でしょうか?それは複数の生物種によって構成されたひとつの生き物の総称で、その体の中に複数の生物の遺伝子を持っています。
例えば『ライガー』と呼ばれる種は、ライオンの父とトラの母から生まれた生物です。
その顔はライオンに近く、体には薄っすらとトラのような縞模様があります。
ライオンとトラは同じネコ科ヒョウ族で、ライガーとして生まれたその子供の姿もネコ科の動物であることが一目で分かります。

冒頭にも書きましたが、実は現在では世界中の研究者が人間と他の動物の遺伝子を組み合わせたキメラの実験を行っているのです。
倫理上の問題から禁断の実験とも言われ「実施されるべきではない」という主張が根強く存在していますが、同時に臓器移植の可能性や新たな病気の治療法の開発に繋がると期待もされているのです。
この記事では、人間と他の動物との間で作られたキメラについてご紹介します。
ヒューマンジー
ヒューマンジーは人間とチンパンジーのキメラです。
1920年代、旧ソ連の生物学者であるイリヤ・イワノビッチ・イワノフ氏が人間と精子でチンパンジーのメスを妊娠させるという実験を行ったそうですが、実験は失敗しました。
しかし近年、同様の実験がアメリカでも行われていたと暴露され、なんとその実験ではヒューマンジーが誕生していたと言われているのです。
暴露した心理学者ゴードン・G・ギャラップ博士によると、実験が行われていたのは1920年代のフロリダ州にある米国霊長類研究センターで、人間の精子を用いてメスのチンパンジーを妊娠・出産させることに成功したのだといいます。
いざ誕生すると研究者は良心の呵責に苛まれ、生後数週間で子供は安楽死させられたそうです。
記録には残っていないそうですが、高名な科学者で、霊長類の研究でも知られているギャラップ博士の発言という事もありその話題は物議を醸しました。
真実は闇の中です。
バカンティマウス
1997年、マサチューセッツ工科大の麻酔科医チャールズ・バカンティ氏らが研究し誕生させたのが背中に人間の耳をつけたマウスです。
牛の軟骨細胞を使用して人間の耳の形をした軟骨を作り、マウスの皮下に仕込んだのです。
それはやがて吸着され、実際に軟骨と肉をもつ耳が形成されました。

実験の最終目的はそれを切除し人間に移植することでしたが、資金難に陥った結果この研究は止まってしまったそうです。
2016年には東京大学と京都大学の研究チームが、iPS細胞を使用してヒトの耳の軟骨「耳介軟骨」をラットの背中で培養することに成功しているそうです。
これ以外にも
- 人間の内臓を持つブタ・ヒツジ
- 半分が人間の血液のブタ
- 人間の母乳を出すヤギ・ウシ
- 人間の肝臓・肛門括約筋を持つマウス
- 人間の脳を持つマウス
など日々研究は進み、その種類増え続けています。
人間と他種族のハイブリッドは、もう映画や漫画の世界だけの話ではありません。科学者たちは試行錯誤を繰り返し、世界を変える発見や発明を成し遂げてきました。
しかしその道は倫理との戦いの道でもあります。
人間はこの先、どこまで踏み込んで良いのでしょうか?