『人間は考える葦である』はフランスの哲学者・パスカルの言葉です。
その意味は、人間は広い宇宙の中で見れば弱い1本の葦に過ぎないが、考えることが出来る。
考える事、思考する事こそが人間の本質である。
自分はこのように解釈しています。そして私が好きな言葉の1つでもあります。
「考える=賢さ」と捉えることも出来ますが、『賢さ』といってもその意味は広義で、要領が良い、洞察力が優れている、頭の回転が早いなど人間のその賢さには様々な方向性があります。
言うまでもなく、人間は動物の中でも群を抜いて賢い部類に入ります。
しかし動物の中には人間が想像できないほどの知性・賢さを持っているものがいます。
今回の記事ではそんな賢い動物をランキング形式で見ていきましょう。
知能が高い動物ランキングTOP5
5位『象』
ゾウは陸上に生息する動物の中で最も大きい脳を持っています。
その重量は5Kgを超え、人間の脳のような非常に複雑な構造を持っています。
彼らは喜び・悲しみ・怒りなどさまざまな感情を持っていると言われており、人間のように考え学習する動物なのです。
ゾウは人間のように仲間の死を悼む動物なのです。仲間の遺体に近寄り、寄り添います。

死亡したゾウに仲間が順番に鼻を当てていく葬儀のような儀式や、墓参りのように何度も遺体の元に訪れる様子は人間と同じように見えます。
実は、ゾウはとても人間に近い動物であるともいわれているのです。
古代ギリシアの哲学者・アリストテレスはゾウに対して『The beast which passeth all others in wit and mind』と言い残したそうです。意味は『知恵と心で他を圧倒する獣』。ゾウの知性はアリストテレスが認めたほどです。
4位『豚』
数年前にはペットのブタが、ジグソーパズルを誰の手も借りずに自らの口で完成させていく動画が話題になりました。
学術誌「International Journal of Comparative Psychology」に掲載されたブタの内面性に関する論文によると『ブタは遊び好きで賢い生き物である。また優れた長期記憶を持っており、仲間を上手に騙す能力もある』といわれています。

『 仲間を上手に騙す能力もある』と言われても…と思った方も多いのではないでしょうか?
ブタの群れは餌場に餌があるかどうかを確認するために、先ず一匹のブタを調査させに行きます。
その時に選ばれるブタは群れの中でも弱い個体であることが多いそうです。
弱いブタは餌があることが確認できると群れに戻りそれを報告し、餌場へと案内します。強いブタ達は餌があることを確認すると、その弱いブタを押しのけ餌を自分のものにしてしまいます。
しかし弱いブタは学習します。次に案内するときには餌のない所や行き止まりに案内したり、大きなブタがついてくることを諦めるまで永遠と同じところを回り続けたり、仲間を騙すようになるのです。
まるで人間のように自身の経験から得た知識を発揮しています。この逸話からもブタの賢さが分かりますね。
3位『イルカ』
頭のいい動物として広く知られているイルカは、地球上でも最も知能が高い生物の一つに挙げられています。
先ほど陸上生物で最も大きな脳を持つのはゾウと紹介しましたが、イルカはその脳と体の大きさの比率が人間に最も近い動物です。
2016年にはロシアが「軍用イルカ」の復活へ向け5頭購入を計画していることがニュースで取り上げられ話題になりました。
その歴史は古く、1960年代からイルカの軍事利用は盛んに研究されており、現在もその高い知能を活かし、ダイバーなどの水難者の救助や、魚雷の探知に活躍しています。

イルカは独特な鳴き声を発してコミュニケーションをとる生物であることはよく知られていますが、なんと固有の名前を持っていることが判明しています。
個体を示す特殊な鳴き声を録音して聞かせると、その名前のイルカが返事を返すということが研究の結果判明しています。
しかし、その高い知性には代償も伴います。なんとイルカ社会では人間社会と同じような『イジメ問題』が存在します。
- 同種の体の小さいものや、弱っている個体に対して集団で噛みつく
- 弱った魚を死なない程度に追い掛け回して遊び、食べずに放置する
- メスのイルカを集団で強姦する
その高すぎる知性が故に、ストレスや不満が募った際にそのような行動を起こすといわれています。
その他にもフグの毒を麻薬のように使用したり、体を半分ずつ眠らせることが出来たり、鏡像認識が出来たりと、イルカの知能・能力・生態は計り知れないものがあります。
2位『カラス』
『どんなに対策をしてもゴミが荒らされる…』そんな悩みを持つ方も多いのではないでしょうか?そんなゴミ出しの天敵カラスは、学者の間で「羽をもった霊長類」とも呼ばれ、とても頭が良い動物としても有名です。
水道の蛇口をひねって水を飲んだり、ドングリやクルミなどを道路に落として車にひかせることで殻を割って中身を食べるなどその賢さは驚異的です。

アメリカのデューク大学で行われた「両端に開口部のある透明なチューブの内部に餌がある時、動物はどのように対応するか」という実験で知能の低い動物は直接取り出そうとしたが、チンパンジーなどの類人猿はチューブの概念を理解して開口部から餌を取り出すことに成功しました。
その後、カラスを対象に同様の実験がおこなわれた結果、カラスも同じく開口部から餌を取り出したのです。
その実験でのパフォーマンスから、カラスはボノボやゴリラと同等の知能を持っていることが確認されました。
それもそのはず、カラスの脳はニワトリの5倍の質量を持ち、体重に対する脳の重さの比率は犬や猫よりも高く、脳細胞は高密度で、他の鳥類とは異なり知能の高い動物に似た構造を持っています。
日本神話では天皇を導いた『八咫烏』として登場し、導きの神として信仰の対象にされてきたカラス。
そこから分かるように古くから人間と関わり、賢い動物として人々に認識されてきました。人間の生活と密に関わっているからこそ、そのような進化を遂げたのかもしれませんね。
1位『チンパンジー』
生物の情報を司る”DNA”が99%人間と同じであり、数百万年前に同じ祖先から別れたと言われている『チンパンジー』。
彼らは知能的にも人間の次に発達しています。
食べ物を得るために道具を使い、外敵と戦うときには武器を使い、自分の家を作ることもあります。言語やハンドサインを用いて餌を探すなど非常に社会的な動物で、その生活はまるで人間のようです。

記憶力や学習能力も優れており、京都大学霊長類研究所での『課題に正しく反応したらおいしい食べ物を一口もらえる』という条件下での実験では、かなり高度なことまでできるようになることが判明しています。
実験は『画面に一瞬出現した1~9までの数字を記憶し、消えた後に順番に押していく』という内容です。
1から9までの数字がランダムに提示されると、それを瞬時に記憶し数字が消えた後も1、2、3、4、5…と小さい順に、数字が提示されていた場所を指します。
さらに驚くべきは、この数字が表示される時間が1秒未満という非常に短い時間であることです。チンパンジーはこの課題をいとも簡単にやってのけるそうです。
